The Halliwick Concept 2010

Halliwick Concept

 

Halliwick コンセプトは、すべての人々、特に身体的に困難がある人や学習に困難がある人が水中での活動に参加できることを目的にしています。水の中で自主的に動き、泳ぐことに焦点をあてています。(IHA−Halliwick Concept 2000)

 Halliwick では開発当初、Halliwickメソッド と呼ばれていました。
 (詳細やそれまでの流れについては、ウェブサイトに掲載されています。
 http://www.halliwick.org.uk/publications-2/the-halliwick-story/ )

そして、The International Halliwick Association (IHA)が1994年に設立されました。その目的は、Halliwick 水泳法を世界中に広め、発展させることにあります。IHAはHalliwickコンセプトという言葉をつかうことを決定しました。「コンセプト」という言葉をつかうことで、様々なジャンルの人々が、より広い場面で適用できると考えたからです。

Hallwick コンセプトは従来の水泳法や指導方法、ハイドロセラピー(hydrotherapy:水治療法的)に、大きな影響を与えました。特定の治療的活動(therapeutic activities)で、大きく発展してきたことも事実です。

Halliwick コンセプトに基づき水中で活動するには、その環境での教え方や学習の仕方など、礎になるものを整理して用意する必要性が出てくるので、自然と様々な利点が引き出されることになったのです。これらの利点は非常にホリスティックなものなので(holistic:全体感的、単に部分ではなく全体的なもの)身体的、個性、レクリエーション、社会的な治癒的側面を持っています。だからこそ、人々の生活に非常に大きなインパクト与えるのでしょう。

考え方:方針 philosophy
Halliwickの発足は、1949年で、当初から水の中にいることを楽しめるということが、学習にどれだけの効果をもたらすかを強調してきました。この考え方は今でも継続しています。

Halliwickでは、「スイマー」という言葉を使います。一人で泳げる、泳げないにかかわらず、水の中で学ぶ人全員をスイマーと呼びます。インクルージョン(障害を持つ人も持たない人も同じ場で学ぶこと)はもちろん大事なことですし、大きな希望を抱きながら参加することがとても大切です。

スイマーは浮具を使わずに、水中でのバランスの取り方を学びます。一人のスイマーに一人のヘルパーという1対1の関係性を基本に、ヘルパーから最小限のサポートを得ながら学んでいきます。

グループで活動することによって、スイマーは学ぶモチベーションが高まり、スイマー同士でお互いに学び合う、という経験をすることができます。グループで学ぶことで、コミュニケーションの機会が増えますし、社会性も併せて高まります。ゲームを通じて、楽しみながら学習することも可能になります。

スイマーとヘルパーがよいコミュニケーションを図れる、ということは色々な意味は非常に重要で、学ぶ上で欠かせないことです。

Halliwickに専門的に従事している人は、色々な方法で人々の学習を最大限に伸ばすことを考えています。それは、障害のあるスイマーに指導する、ということを考えることでもあり、新しいインストラクターを育てるということを考えることでもあるのです。

に部分ではなくリエーションの面、人間関係の面、治療的な面にわたっています。 Halliwick 法は、水治療法の技法にも影響をあたえ、特別な治療法へと発展しています。

10ポイントプログラム

10ポイントプログラムは経験のない人でも取り組んで先に進んでいける、学習構造になっています。経験がない人でも、水中での体の動きをコントロールする方法をマスターしていくことで、自立していくことができるのです。

10ポイントプログラムを行うことで、すまーは次第に良い呼吸に仕方を体得し、バランスと動作のコントロールができるようになり、水に対する自信がついていきます。経験が増えると同時に、水の中での自由を得ることができます。

スイマーとインストラクターの、1対1の学習で、インストラクターによる適切なサポートを得ながら、スイマーが浮具なしに学習できることで成し遂げることができます。可能な限り必要なサポートをインストラクターから受けながら、スイマーが自主的に動作をコントロールします。

みんなにとって10ポイントプログラムは、十分に泳ぐことを学ぶチャンスになりますし、他の水中での活動に加わる機会を提供することにもつながるのです。

10ポイントプログラムとは

 1. 心理的適応
 2. 分離
 3. 横断軸回転コントロール
 4. 矢状軸回転コントロール
 5. 長軸回転コントロール
 6. コンビネーシヨン回転 コントロール
 7. 押し上げ
 8. 静止バランス
 9. 乱流に乗って進む(グライディング))
 10. 単純な前進と基本的な泳法

療法としてのHalliwick

水中環境でセラピーを行っている人には、Halliwickコンセプトによる10ポイントプログラムは効果的だと言えるでしょう。コンセプトの方針/考え方は、身体的構造や体の機能を高めることにつながりますし、学習の原動力となり、機能的な独立(自立)につながります。

一人ひとりのQOL(クオリティオブライフ)を考えるうえでは、包括的な健康に関する生体心理学のモデルとして、WHOのICF:国際生活機能分類でも使われています。

セラピストは限界に向かいながらも、動作(範囲、運営とプランニングを含む)や、体力、持久力、呼吸器、オーラルコントロール(oral cotrol)、フィットネス、などといった領域でもHalliwickの構成がつかえることに希望を抱いています。水の中という環境は感覚統合にも最適です。

Halliwickのセッションを通じて、ソーシャルスキル、コミュニケーション、学習能力(learning ability)心理的に自己肯定感を得ることができます。特にグループセッションでの効果は高いでしょう。

動作やバランスコントロールへのこれまでとは違った方策という点で、Halliwickは新しい環境要因を紹介するものだと言えます。水は、身体的に適切で、個々人の力:身体的にも、感情的にも、社会機能としても、アシストしてくれます。(Harris, 1978;Adams&McCubbin, 1991;Broach&Datillo, 1996;Hutzler et al, 1998;Cole&Becker, 2004; Getz, 2006)

10ポイントプログラムは動作をし始める主体性を育みます。これは陸上で行うのは困難です。

動作の練習をはじめられる水中環境では、新しいパターン学習を促進します。それは、認知を深め、学習への原動力、感覚処理、認知的学習への理解を高めることにつながり、それにより、動作パターンを使って、生活に必要な活動をコントロールできるようになります。(MacKinnon, 1997; Bumin et al., 2003; Getz, 2006; Getz et al., 2007)

水泳はよりよい人生をおくるために、重要な活動になりうるのです。先にも述べたとおり、水泳は、治療的道具としても、健康を維持するためにも重要な役割を担います。


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